2021年3月8日月曜日

山ふる四季だより【秋】

 

めぐる季節を楽しもう

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花や紅葉、雪、雲の形、生きものたちの姿の変化…。
自然現象や生きものから、私たちは四季の移ろいを感じ取ることが出来ます。

山のふるさと村で起きる季節の事柄を近年撮影された写真や動画で紹介する
「山ふる四季だよりシリーズ(全4回)」

外出しづらい日々が続く中、少しでも季節を感じられたら幸いです。
そして遊びに来ていただけた時の、
散策の楽しみの一つにしてもらえたらと思います。

第4回目となる今回は、通り過ぎた懐かしい季節、【秋】 です。

※なお、四季は以下のように分類しています。
【冬】 1月~3月
【春】 4月~6月
【夏】 7月~9月
【秋】 10月~12月

それではお楽しみください。





 10月 





【ユウガギクとヒョウモンチョウ】
9月終わりから10月にかけて、日当たりのいい場所ではユウガギクをはじめ
様々な秋の花が咲きだします。
そして花の蜜を求めて、秋の虫たちが活発に動き出します。
目を引く華やかな模様のヒョウモンチョウのなかまたちは、
この時期たっぷりと栄養をつけ、冬を越える準備をします。




【爬虫類、寝る】
夏が過ぎ、朝や夕方に冷え込む日が増えてくる10月、
寒さに弱い生きものたちの姿を見かけなくなります。
例えば写真のジムグリは冬の寒さを凌ぐため、地面の深いところに潜ります
この時は、越冬場所を探していたのかな?







【キノコ・ワンダーランド】
冬越しの準備をはじめる生きものがいる一方で、秋と言えば、キノコの季節。
上から儚い印象のキツネノハナガサ、ヒトデのような形のツチグリ、
サンゴのような形のムラサキホウキタケ、ベニナギナタタケ。
いろんな形、いろんな色のキノコが森を賑やかに彩ります。






【紅葉のはじまり】
木の種類が多い山ふるでは、一斉に染まる紅葉時期というものは無く、
10月から11月にかけて、種類によって少しずつ色づいていきます。
10月の早い時期から色変わりする種類は、一枚目のレモン色に染まるフジ、
二枚目と三枚目のカツラなどがあります。
カツラの葉っぱは、この時期から綿菓子やメープルシロップのような
甘くて少し香ばしさがあるようないい香りを放ちはじめます。
香りが写真に撮れたらなあ、と毎年思います。



 11月 



【冬鳥が来る!】
この時期の楽しみの一つが、いつ冬鳥がやってくるか。
高山や別の大陸にいた鳥たちが山ふるに姿を見せ始めると、
散策時には双眼鏡が手放せなくなります。
一枚目は背中の白い模様が特徴のジョウビタキ、
二枚目はやって来るのはちょっと遅いけど鳴き声が分かりやすいウソ、
三枚目はやぶに隠れるのが上手なカヤクグリ。
春になるまで山ふるで一緒に暮らすことになるメンバーたちです。






【紅葉本番】
11月に入ると、いよいよ一番の主役と言えるカエデ(モミジ)のなかまたちが
色づき、森が鮮やかに彩られます。
ビジターセンターの周辺に多いのが、赤く色づくイロハモミジやオオモミジ、
自然散策路に多いのが黄色や橙色に色づくコハウチワカエデ。
種類によって、或いは日当たりや健康状態によって様々な色へと変わります。





【集落の歴史】
雨が少なくなり、奥多摩湖の水位が下がり始めると、
湖底に沈んだ民家の基礎部分の石垣が見えるようになります。
この石垣を見るたび、ここにあった人々の暮らしに思いがめぐります。
湖畔近くでもうひとつ集落の歴史を感じさせるものが、古いオート三輪車。
ビジターセンターでは「くきじぃ」と愛称で呼んでいます。
この場所にあった岫沢(くきさわ)集落の名前が由来です。






【秋たけなわ】
標高の高い山の上から葉が散り始める11月の終わり頃、
湖畔沿いの木々が最後に紅葉し、そして奥多摩湖に葉が降り積もります。
湖をのぞき込むと、落ち葉でカラフルになった水中を、秋生まれの稚魚が
泳いでいる様子が見られます。少し不思議な光景です。



 12月 



【カキノキの実とニホンザル】
秋の光を受けてたわわに実ったカキノキの実。
そしてそれを「待ってました~!」と言わんばかりに食べるニホンザルは
もはや晩秋の恒例となりつつあります。食べ方に注目すると、
木の上でこっそり食べるサル、石に座ってゆっくり食べるサル、
他にも、たくさん持っているサルからちょっと強引におすそ分けしてもらう
サルなど、すごく性格があらわれています。





【冬毛で準備万端】
秋の実りをたくさん食べて、けものたちは冬に備えて冬毛を生やす時期。
地面に落ちたカキノキの実を食べている上の動画のタヌキは、
すでに冬毛でフサフサです。
対して、下の動画はまだまだ残暑が厳しい9月に撮影されたもの。
スラリとした夏毛のシルエットは、もはや別の種類の生きものに見えます。
毎日着替えるのではなく、夏毛と冬毛で体温調整をする生き方です。





【霜のアート】
ぐっと冷え込んだ日の朝、霜が芸術を作り出していることがあります。
体が慣れない内は寒さがつらく感じられる時もありますが、
この季節ならではの自然のアートを見ると、心はワクワク。
そろそろ冬かあ。懐かしいなあ。と寒さを忘れてしまいます。






【寒い季節は星空観察!】
空気が澄んで湿度が低くなる晩秋から冬にかけては、星空観察にうってつけ。
晴天率が高くなるのもポイントです。
一枚目の写真はビジターセンター、二枚目はケビンサイトの星空です。
建物から一歩出れば、それだけで十分星が楽しめます。
また晩秋から見やすくなる冬の星には、明るくて特徴的なものが多いです。
例えば三枚目の写真の明るい星が寄り集まった部分には様々な呼び方があり、
プレアデス星団や、おうし座(の一部)、さらに日本固有の呼び方として
「すばる」「すまる」という名前があり、古くから親しまれています。



紅葉が始まる10月から晩秋の12月までの季節の移ろいは、
お楽しみいただけたでしょうか。
あっという間に一年は過ぎ、冬に備えるために生きものたちは大忙しです。

さて、全4回の「山ふる四季だより」はいかがでしたでしょうか。
連載を通して、現在の季節を感じ、
さらに少し未来の季節を楽しみに感じてもらえたなら幸いです。
また、紹介しきれなかった日々の自然の変化は、
ぜひTwitterや当ブログでもお楽しみください。

それでは皆様も、冬を乗り越え、春を元気いっぱい楽しむために、
どうぞご自愛ください。


(インタープリター/すみぃ)