2022年5月18日水曜日

【ネイチャートレイル2】5月の自然情報


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ビジターセンターのスタッフ(インタープリター)は

散策路の安全や動植物の様子、季節の変化を確かめるため、

毎月、各トレイルを歩いて調査しています。

このブログでは、調査結果の一部を紹介します。

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ここのところ、天気は雨や曇りなうえ、

涼しい(むしろ寒い)日が続いていましたが、

ようやく太陽が差して暖かくなってきた山ふるです。


先日は、ネイチャートレイル2を調査しました。

調査日は、どんよりとした空模様に加え、気温は約15℃…。

そのためか、生き物の姿もまばらでしたが、

そんな梅雨直前の山ふるの様子をお知らせします。


自然情報(抜粋)

◆木本:ハクウンボク・トチノキ・ホオノキ・マルバウツギ・ヤマボウシの開花

◆草本:ヘビイチゴ・カキドオシ・ヒトツバテンナンショウ・ジシバリの開花

◆鳥類:キセキレイ・ヒヨドリ・オオアカゲラの目視

    ウグイス・ヒガラのさえずり

◆哺乳類:ニホンジカ足跡・食痕・糞、ニホンリス食痕、テン糞、モグラ坑道

◆その他:ウスバカゲロウ幼虫・コウガイビル・ツチグリ


インタープリターのつぶやき

スミレなど、春の花々は数が減り、

代わりに木々に花がたくさん咲いています。

白系の花が多く、やや華やかさには欠けますが、渋い美しさがあります。

ぜひ今しか見られない花々を見に、山ふるへお越しください。



さて、美しい花のあとで申し訳ありませんが、

ジメジメした季節ならではの、不気味な生き物をご紹介します。

コウガイビルです。


「ヒル」と名がついていますが、

人の血を吸うヒルとは、まったく別の動物で、

生物の教科書でおなじみのプラナリアに近い仲間です。

プラナリアといえば、バラバラに切った断片の

1つ1つが新しいプラナリアになる、という再生能力で有名ですが、

コウガイビルも同様に増えるようです。


前置きが長くなりましたが、

ではコウガイビルは何を食べているかというと、

ナメクジやカタツムリ、ミミズなどです。

イチョウの葉のような形の頭に口があるかと思いきや、

口があるのは体の前後中央のあたり。

獲物を捕らえると、そこから消化器官が出てきて消化液を分泌し、

溶かした獲物を吸収するという何とも恐ろしい食事方法です…。


と、興味深い生態をもつコウガイビルですが、

どうみても乾燥に弱そうな生き物です。

ここ数日のジメジメとした天気が、

活動するうえでちょうどよかったのでしょう。

せっかく自然に出かけても、天気が悪いと何となく気分が上がりませんが、

普段は出会えない生き物に出会える楽しみもあります。

もうすぐ梅雨がやってきますが、

あえて雨の山ふるに遊びに来てみてはいかがでしょうか。


(インタープリター/げん)