立秋を過ぎ、暦の上では秋となり、
ここ山のふるさと村では朝と晩がだいぶ涼しく感じられるようになりました。
それでも昼間になると、まとわりつくような蝉たちの大合唱など、
まだまだ夏は続きそうです。
そんな中ふと、ある疑問が浮かびました。
「夏と秋の境界線って、どこなんだろう?」
そんなことを思い巡らせている中で、
『自然の中にヒントがあるかも!』と思い立ち、
早速、山ふるの森の中へと足を進めてみました。
最初に目に入ってきたのは、綺麗な色をしたこのお花。
フシグロセンノウといいます。
野草には珍しい、朱赤色の花を咲かせる植物です。
夏の終わりから咲き始めるお花、と言われています。
「ああ、やっぱりそうか!」
植物の季節は秋に向かっているようです。
と、次に見つけたのは、
日本の昆虫の王様、カブトムシ。
カブトムシといえばそう、夏の昆虫の代名詞。
「あれれ、やっぱりまだまだ夏なのか?!」
あたふたしながら歩いていると、
足下にこんなものが。これ、何だかわかりますか?
これはなんと、コナラというドングリの葉っぱが落ちたものなんです!
いやいやそうじゃなくて、ハイイロチョッキリという昆虫がわざと落としたものなんです!
ハイイロチョッキリのお母さんはこのドングリの中に卵を産み、それを落とします。
さてこの虫なんですが、ドングリの出来始め、つまり夏の終わりに合わせてチョッキリし出すそう。
うーん、そうなるとやっぱり、もう秋なのかなあ。
それとも、実は夏と秋って、段々と変わっていくものだったりして?!
「まだまだ探してみよう!」と思って見上げてみると、
花火のようなピンク色のネムノキの花が咲いています。
この花、昼間にも咲くことは咲くのですが、主に夏の夜に咲く花なんだそうです。
そう、この花は、夏に咲く花!
「明確な境界線は、ないのかなあ。」
そんなことを考えている間に、
ビジターセンターに戻ってきました。
すると、ビジターセンター前のイロハモミジが、もう、赤く染まり始めています。
僕が最初に感じた疑問、
「夏と秋の境界線って、どこなんだろう?」
それって実は、夏と秋の間にあるのは「境界線」ではなく、
それぞれの季節に見られる生きものたちが日を重ねるごとにゆっくりと交代していく、
そんな「時間の流れ」だったようです。
そう、夏と秋の境界線を探すお散歩は、
今の時期、夏と秋の両方の季節をそれぞれ楽しめる、
ちょっぴり”オトク”な時間となりました。
皆さんが訪れるときは、
まだまだ夏でしょうか?
それとももう、秋でしょうか?
都会では中々感じることが難しい「季節の変わり目」、
山のふるさと村にて、
小さな自然の変化を感じてみてください。
リーンリーン、ルルルルルー。
おや、日が暮れたと思ったら、
虫たちが鳴き始めました。
夜に関しては、どうやらもう、秋のようです。
(まっつん)