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2025年8月26日火曜日

山ふるのふしぎ植物「テンナンショウ」

 山のふるさと村のふしぎ植物の紹介です。

今回紹介するのはテンナンショウ。

テンナンショウ(天南星)は広く見るとサトイモの仲間。種数も多く、山地では意外とメジャーな植物です。

まず不思議なのはその形。ヘビのあたまのような部分は葉が変形したもの(仏炎苞といいます)。この葉の内部の空間にたくさんの小さな花が咲きます。

実はこのヘンテコなかたちには意味があるのです。

テンナンショウはキノコのような不思議な香りでキノコバエなどの小さな昆虫を仏炎苞の中へ誘い込みます。入り込んだ昆虫たちは出口を探して動き回りますが、仏炎苞内部は一度入ると抜け出せないようなつくりをしています

これこそがテンナンショウの作戦なのです。この構造はテンナンショウのオスが昆虫を利用して、テンナンショウのメスに自身の花粉を届けるためのものであると考えられています。

一体どんな方法をとっているのでしょう?

まず、不思議な香りに誘われて、オスのテンナンショウに訪れた昆虫はやはり仏炎苞から抜け出せなくなります。

出口を探しまわるうちに、昆虫はオスの花粉まみれになってしまうのです。

ところがテンナンショウ、面白い事に入口とは異なるところに小さな出口があるのです。

運よく出口を見つけた昆虫は見事、テンナンショウから抜け出すことができます。

これでもうテンナンショウは攻略。と言いたいところですが、実は出口はオスのテンナンショウにしかありません。運よくオスのテンナンショウから抜け出せた昆虫も、メスのテンナンショウに入ってしまうと抜け出せず、その生涯を仏炎苞の中で終えることになります。そして、昆虫についていたオスの花粉はしたたかにメスが受け取るのです。

このように、テンナンショウは不思議な香りで昆虫たちを誘い込み、オスとメスの間を行き来させることで確実に花粉のやり取りを完了させるのです。

テンナンショウの不思議なかたちの裏にはこのような虫を利用する作戦があったのですね。興味深い植物です。


ちなみにテンナンショウはよく食虫植物のウツボカズラに似ていると言われますが、食虫植物ではありません。ですが、どちらの植物も虫を呼び寄せ閉じ込める、という似通った作戦を持っています。そのため、彼らの姿はお互いに似ているのでしょうね。


さて、テンナンショウですが、虫たちの犠牲によって受粉に成功すると初夏に実をつけます。

この実が、これからの季節のイチオシ観察ポイントです。テンナンショウは小さな果実があつまった果実の塊をつくります。


今の季節はまだ緑色の状態ですが、秋ごろになると真っ赤に熟します。毒々しささえ感じる鮮やかな赤い果実の集合体はなんとも見ごたえがあります。

そして、この赤い不思議な果実さえも、実はテンナンショウのある作戦なのです。

不思議な植物、テンナンショウのさらなる作戦の詳細と実際の姿はぜひ山のふるさと村でご確認ください!


 (インタープリター/けんけん)




2025年6月21日土曜日

最近のおすすめ鳥見スポット

 

いよいよ本格的に暑くなってきましたね。

鳥たちも暑さのせいか、なかなか鳴いてくれないようになってきました。

そんな中、ビジターセンターに泊まり込みでアルバイトをしているくまちゃんが、個人的に観察した野鳥とその場所を紹介させていただきます!


私の野鳥観察は、ビジターセンターの屋根からいつも見守ってくれている「キセキレイ」への挨拶から始まります。

その後、湖畔広場、岬園地、ネイチャートレイルⅠを散策し、リスの広場で朝ご飯を食べて折り返します。

最後にビジターセンター裏の川沿いを見てビジターセンターへと戻ってきます。

散策時間は約1時間半。鳥がいるほど時間は延びます。

 

最近見れた鳥とその場所のマップです。

(ハシブトガラスとカケスとヒヨドリはどこでも見れたので除いています。)



 ★おすすめポイント

私がいつも座り込んで、鳥が来るのを待つポイントが3ヶ所あります。

1つ目は、岬園地の階段を登ったところです。ここは鳥が飛ぶ高さが目線の高さになるので

おすすめです!今朝は、「メジロ」と「イカル」、「アオバト」も目の前に来てくれました。

アオバト

2つ目は、リスの広場です。ここでは最近よく「キビタキ」が元気に囀っています。

キビタキの囀りを聞きながら食べる朝ごはんは最高です!至福の時間を過ごしています。


キビタキ

3つ目は、ビジターセンターから川へと降りていく途中の小さな広場です。ここは、川の

近くであり、木陰であることから涼しく快適に鳥を観察することが出来ます。最近は「クロツグミ」が、夜間や早朝は「トラツグミ」がよく囀っています。

クロツグミ

昼頃は鳥が鳴かず、一見鳥がいないように見えますが、実は木陰をひそひそと移動しています。

ネイチャートレイルⅠでは、よーく観察していると樹皮が動いているように見えることも...

この正体は、「キバシリ」です。

 

このように、近くにいるのに意外と気づかなかったりします。

私はまだ会えていませんが、オオルリを見たスタッフや、サンコウチョウの声を聞いた  

スタッフもいます。見れていないのが少し悔しいので、私ももっと探してみます!

皆さんもぜひ散策してみてください。この記事が参考になれば幸いです。

 (インタープリター/くまちゃん)

2024年4月21日日曜日

【ネイチャートレイル1】4月の自然情報

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ビジターセンターのスタッフ(インタープリター)は

散策路の安全や動植物の様子、季節の変化を確かめるため、

毎月、各トレイルを歩いて調査しています。

このブログでは、調査結果の一部を紹介します。

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自然情報(抜粋)

◆植物:ジュウニヒトエ・タチツボスミレ・ヒトツバテンナンショウの開花

    ミツバツツジ・ヤマナシ・イロハモミジ・ヤマザクラの開花

◆鳥類:ハシブトガラス・ヒヨドリの目視、ウグイス・ミソサザイの囀り、アオバトの羽根

◆哺乳類:ニホンジカの食痕(ササ)・毛・糞、ニホンリスの食痕(オニグルミ)、ムササビの糞

◆その他:ビロードツリアブ・クロヤマアリ、オナガグモ・アリグモ

調査時の天気は、曇りでした。


写真はネイチャートレイル1の様子です。

ルートを矢印で示しています。

ビジターセンターに向かって山側にあるスロープを進みます

奥多摩湖いこいの路の看板を左手に進みます

突き当たりの広場(岬園地)の奥にある階段を登ります

階段を登ると尾根に出ます

尾根筋の登りが続きます

登りが終わるとベンチやテーブルがある広場(リスの広場)です

尾根を進むと道標があるので、そこから中央広場の方向に下ります
下りずに真っすぐ進むとトレイル2へとつながります

道標から下りていくと森の工作舎に出ます
クラフトセンターの横に出てゴールとなります

インタープリターからのセルフガイドの紹介

ビジターセンターで配布している、セルフガイド1ワークシートが新しくなりました。

問題を一新し、ポイントの場所も変更となりました。

今回は、新しく設置されたポイントと問題の見出しを紹介します。

1.みんなの家のまわりとくらべてみよう!

2.聞こえる音は?

3.森の中で発見!

4.森の未来は?

5.苔ってどんな感じ?

6.どんな動物がすんでいるのかな?

セルフガイド1ワークシート


ぜひ、挑戦してみてくださいね。

季節を変えて何度も挑戦しても楽しいですよ。

(インタープリター/いわしぃ)

2023年11月23日木曜日

2023年山のふるさと村の紅葉の様子

 2023年のクラフトセンターのベランダからビジターセンターを映した定点写真を紹介します。

2023年10月15日

2023年10月26日

2023年11月2日

2023年11月14日

2022年の紅葉の様子と比べてみてください。※撮影場所は同じです。

2022年10月27日

2022年11月3日

2022年11月18日

○今年の一番(いわしぃ的な)の紅葉○
今年は、コハウチワカエデの紅葉が一番きれいでした。
コハウチワカエデはネイチャートレイルⅡのアカマツの広場や手前(ビジターセンター側)あたりにあります。
緑の葉と紅葉のコントラストがきれい

手前の葉と奥の葉の遠近感が面白い

アカマツの広場の東屋と紅葉の木の対比がお気に入り

陽の光に透かしてみると、ステンドグラスのように紅葉が映えます。
11月8日の様子なので、すでに紅葉は終わっていると思いますが
アカマツの広場の東屋の紅葉は、今年一番がきれいだなと思った場所でした。

2023年の紅葉は、もうすぐ終わりになりますが、
来年の紅葉を想像しながら、
ぜひ、これから見られる冬芽や新緑の様子を見てもらえたらと思います。

(インタープリター/いわしぃ)

2023年8月30日水曜日

【杣の小道】8月の自然情報

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ビジターセンターのスタッフ(インタープリター)は
散策路の安全や動植物の様子、季節の変化を確かめるため、
毎月、各トレイルを歩いて調査しています。
このブログでは、調査結果の一部を紹介します。
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山のふるさと村の散策路の一つ、「杣の小道(そまのこみち)」の様子を見てまいりました。
まだまだ暑いですが、段々とその暑さも落ち着いてきた気がしますね。
杣の小道にあるコナラやミズナラなどのドングリの木もますます実を充実させ、キノコもぽこぽこと顔を出していて、自然情報の面でも季節の移り変わりを感じます。



杣の小道、入口の様子

林内の様子

木の根の階段。歩きやすい靴でお通り下さいね👟

途中にある「山のつり橋」
目線の高さにある木々の緑と、谷川の流れを
優雅にお楽しみください!

何年か前のクマの爪痕。
(最近の痕跡は見つかりませんでしたが、
鈴やラジオなどがあると安心です。)



 自然情報(抜粋 

◆木本類:コナラ・ミズナラ・アブラチャン・フサザクラの結実

◆草本類:キツネノマゴ・キツネノボタンの開花

     テンナンショウ属の結実

◆鳥 類:シジュウカラの地鳴き

◆哺乳類:ニホンリスの食痕(オニグルミ)、ニホンジカの角研ぎ痕(スギ)

◆その他:クロヤマアリ・ムネアカオオアリ、ウスバカゲロウのアリジゴク

     ウズグモ

 

 インタープリターの小話 

「姿くらましの術🍁」
いろいろな生き物が、周囲の環境の色や形に姿を似せて、擬態をします。
なかでも、枯れ葉への擬態は大人気!
野鳥も、虫も、魚までもが枯れ葉になろうとしますし、虫では卵も幼虫も成虫も、どんな段階でも枯れ葉になろうとしています。

さて、写真では、枯れ葉の中に何が隠れているでしょうか~
(撮影しようとして、3度も見失いかけました。優秀…)
ヒント:例に挙げた分類群の生き物ではありません
簡単すぎた人へ:枯れ葉に擬態する魚をご存じですか?ぜひ動画を検索して見てみてください~!


2023年7月18日火曜日

【ネイチャートレイル1】7月の自然情報

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ビジターセンターのスタッフ(インタープリター)は

散策路の安全や動植物の様子、季節の変化を確かめるため、

毎月、各トレイルを歩いて調査しています。

このブログでは、調査結果の一部を紹介します。

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陽が差して暑いかと思いましたが、

午前中の尾根道はまだ涼しく、気持ちよく散策できました。

 

花が終わって実がなり始めたミズキ



小さな小さなハムシ(種名は調べ中)


尾根は風が吹いて気持ち良い


 自然情報(抜粋 

◆木本類:ヤマハギの開花

     ダンコウバイ・イロハモミジ・ヤマナシ・ハクウンボクの結実

◆草本類:キツネノボタン・カタバミ・ギボウシの開花、ムラサキシキブの蕾

◆鳥 類:アオバト・キジバトの囀り、ヒヨドリ・カケスの地鳴き

     カケスの抜けた羽

◆哺乳類:ニホンリスの食痕(オニグルミ)

◆その他:クロヤマアリ・ムネアカオオアリ、ウスバカゲロウのアリジゴク

     ジョロウグモ

 

 インタープリターの楽しみ 

葉っぱにお絵かき?ハモグリバエの食べあと


森を歩いていると、白い筋がにょろにょろと走った葉っぱを見かけます。

まるで、絵が描いてあるようですよね?

こちらはハエの中でも、ハモグリバエと呼ばれる虫たちの仕業です。

具体的に言うと

「幼虫が葉にもぐって、葉っぱを食べ進め、

 少しずつ成長し、葉っぱの中で蛹になり、羽化をして、

 最後には、葉っぱに穴をあけて飛び立っていくという」

物語の痕跡です。

よく見ると、最初は細い筋の食べ跡少しずつ太くなっており、

幼虫の体の成長がうかがえます。

(よく見ると筋の途中に糞が見られることもあるそうです)



みなさんが森でこんな感じの葉っぱを見かけたら、

ぜひ、食べ跡を観察してみてください。

複数の幼虫が同じ葉っぱにいると

迷路みたいになっていて、追いかけるのが楽しいですよ。


(インタプリター/とむさん)

2022年12月2日金曜日

「小河内の鹿島踊」がユネスコ無形文化遺産に!


みなさんは奥多摩の郷土芸能
「小河内の鹿島踊(おごうちのかしまおどり)」を知っていますか?



この郷土芸能、実は山のふるさと村で生まれたもの。

正確には、山のふるさと村が出来るずっと前、
現在山のふるさと村となっている場所にあった
岫沢(くきざわ)・日指(ひさし)と呼ばれた集落と、
お隣の南(みなみ)集落の人々によって
継承されてきた郷土芸能です。


実は、この「小河内の鹿島踊」を含む
日本全国の「風流踊(ふりゅうおどり)」が、
2022年11月30日、
ユネスコ無形文化遺産に登録されたのです!!!
(ドーン!)

風流踊とは、歌や笛、太鼓、鉦(かね)などの
囃子に合わせて踊る民俗芸能で、
各地の歴史や風土に応じてさまざまな形で
伝承されてきました。


「小河内の鹿島踊」は、歌と太鼓、笛に合わせて、
女装姿の男性が舞う事が特徴です。

小河内ダム建設のため、
集落は移転を余儀なくされましたが、
当時の村人たちが集まり、鹿島踊を継承する
保存会を1970年に設立。

年に一度の小河内神社での奉納祭や、
山のふるさと村の季節のおまつりにて、
優雅な舞を披露しています。


みなさんもぜひ、一度見てみてくださいませ~。
(踊り手も随時募集中だそうですよ!)

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山のふるさと村公式YouTubeチャンネルでも紹介しています!