めぐる季節を楽しもう
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花や紅葉、雪、雲の形、生きものたちの姿の変化…。
自然現象や生きものから、私たちは四季の移ろいを感じ取ることが出来ます。
山のふるさと村で起きる季節の事柄を近年撮影された写真や動画で紹介する
「山ふる四季だよりシリーズ(全4回)」。
外出しづらい日々が続く中、少しでも季節を感じられたら幸いです。
そして遊びに来ていただけた時の、
散策の楽しみの一つにしてもらえたらと思います。
第2回目の今回は、少し先の季節、【春】 です。
※なお、四季は以下のように分類しています。
【冬】 1月~3月
【春】 4月~6月
【夏】 7月~9月
【秋】 10月~12月
それではお楽しみください。
4月
【春霞と桜】
春爛漫の4月。どことなく薄霧がかかった春霞の風景や、ヤマザクラを
はじめとした桜が山のふるさと村を彩ります。
新芽が伸び、生きものが活発になる春の始まりです。
【頭上に芽吹き、足元に早春の花】
冬芽の中に眠っていた葉っぱの赤ちゃんが勢いよく成長し始めます。
新芽の黄緑色で、森は爽やかな色あいになります。
一方、足元ではカタクリ(右上)やタチツボスミレ(左下)、
ニリンソウ(右下)などの春の草花が可憐な花を咲かせます。
【昼寝する動物たち】
春眠暁を覚えずと言いますが、哺乳類全般に当てはまるかもしれません。
春の日差しの中、うとうとするテン(野性味なし)に、
こちらに気付いているけど立ち上がりたくない様子のアナグマ。
春の心地よさには、けものたちも抗えないようです。
5月
【続々と目覚める生きものたち】
ぐんぐん気温が上がり、石垣や土の深いところで眠っていた生きものたちが
目を覚まし、園内にあらわれるようになります。
この頃は、生きものが別の世界から湧き出してくるような感覚になります。
しかし冬の間上手に隠れていただけで、実際の命の数は夏と変わりません。
【春の蝶 ウスバシロチョウ】
前回紹介したテングチョウに続き、アカタテハなどの早春のチョウがあらわれ
春たけなわにのんびり登場するのがウスバシロチョウです。
花畑をフワフワと飛び回る姿は、まるで春を謳歌しているようです。
ちなみにチョウによってあらわれる時期が違うのは、越冬方法の違い。
早春のチョウは成虫の姿で越冬するので春一番に活動できますが、
ウスバシロチョウは卵の姿で越冬するので成長に時間がかかるのです。
【ニセアカシアの花が大好きなニホンザル】
ニセアカシア(和名ハリエンジュ)の白い花が咲くとニホンザルは大喜び。
それまであちこちで新芽を食べていたサルたちが一斉にニセアカシアの樹上に
集合し、にぎやかなパーティー会場と化します。
花にはほんのり甘みがあり、天ぷらにするとおいしいそうです。
【大きなホオノキの花】
朴葉味噌に使われる大きな葉のホオノキには、やっぱり大きな花が咲きます。
見た目もインパクトがありますが、近付くと、入浴剤にしたいようなほのかに
甘い爽やかな良い香りがします。
5月の終わり頃に山ふるを散策する時は、ぜひ鼻を使って楽しんでください。
【夏鳥がやってくる!】
冬鳥が去った山のふるさと村に、今度は夏鳥がやってきます。
青と黒がおしゃれなオオルリ♂(上)や、黄色い眉のキビタキ♂(真ん中)、
姿は見せないけど、さえずりが特徴的なヤブサメ(下)などなど。
このヤブサメの声は、高すぎて人によっては聞こえない音だそうです。
0~3秒にかけて、シシシシシ…という虫のような声を探してみてください。
6月
【雨の日はコケウォッチング&コケタッチング】
冬から乾燥し続けた山ふるを、梅雨の雨水が潤す時期です。
濡れたコケは休眠状態から目覚め、水を吸って大きく膨らみ葉を広げます。
緑色に透ける美しい葉っぱをじっくり観察するもよし、
フワフワでサラサラな最高の触り心地を楽しむもよしのシーズンです。
【6月の風物詩 マタタビの白変】
絵の具で白く塗ったように、マタタビの葉が白く色変わりします。
上の写真のように、梅雨時の暗い森の中では浮き出て見えるほど目立ちます。
一説によると、白い葉の裏側につく花(右下)に虫を引き寄せるため、
花ではなく葉でアピールする方向に進化したのだそうです。
【耳で楽しむカジカガエル】
沢からピヨヨヨヨ…と鳥のような声が聞こえます。
渓流に暮らすカジカガエルにとって、6月は繁殖期の真っただ中。
小鳥のようなさわやかな声は、オスからメスへの求愛の鳴き声です。
大きな声は湖畔中に響き渡りますが、その姿は流れの中の小石そのもの。
天敵の目を欺くための戦略がしっかり練られています。
【木登りガエル モリアオガエル】
レストラン前の池からコロロ、コロロと鳴き声が聞こえてくるのが合図。
木登りが得意な変わり者のカエル、モリアオガエルの繁殖期です。
オスは枝先や石の下に隠れながら、メスへ求愛の声で呼びかけます。
綿あめのような卵が枝先に産みつけられてから2週間ほど経つと、
綿あめの中で育ったオタマジャクシが動き出し、下の水場へダイブします。
木に登ることでヘビなどの天敵を避けつつ子どもが成長する場所も用意する、
両方をこなすのがモリアオガエルのすごいところです。
春爛漫の4月から梅雨の6月までの季節の移ろいは、
お楽しみいただけたでしょうか。
ようやく冬を乗り越えほっと一息ついた春も束の間、食に渡りに繁殖と、
めぐる季節の中で生きものたちにはやることがいっぱいです。
次回の 山ふる四季だより【夏】は、来週投稿予定です。
それでは皆様も、山ふるや身近な生きものたちのように春を謳歌できるよう、
どうぞご自愛ください。
(インタープリター/すみぃ)